ラジアル推力について

ここではポンプにまつわる専門用語「ラジアル推力」について解説します。これはプロペラなどの推進器が回転すれば発生する力の一つであり、「スラスト推力」と併せて知っておきたい言葉です。ここではその意味や与える影響などを紹介します。

ラジアル推力とは？

ラジアルとは「放射状の」「星形の」という意味を持つ言葉であり、ラジアル推力はインペラが回転する際に軸に対して垂直方向でかかる推力のことをいいます。プロペラなどの推進器が回転すると「スラスト」と「ラジアル」の2つの力が必ず発生しますが、このうち「スラスト推力」は前に進もうとする力であると整理しておきましょう。一方の「ラジアル推力」は洗濯機の中のように「回転することで発生する遠心力」をイメージすると分かりやすく、軸に対して放射状に発生する力のことをいいます。このラジアル推力は運転点が変わるとその大きさや方向が変化するようになっています。「スラスト推力」という言葉も理解したうえで「ラジアル推力」という専門用語も覚えておくようにしましょう。

ラジアル推力がポンプに与える影響について？

では次に、このラジアル推力がポンプの中で発生するとどういう影響を及ぼすかを考えてみましょう。インペラが回転すると「全方位に広がる力」と「ラジアル推力」の2つの力が発生しますが、このラジアル推力はスピンドルに対して直角に働くこととなります。つまりスピンドルには本体重量のほかにこれらのさまざまな力が大きくかかってくる形になりますので、かなりの体力が求められます。「全方位に広がる力」「本体重量」「ラジアル推力」などのさまざまな力に耐えなければならないことから、スピンドルにかかる負担はとても大きいものとなっています。この負担はただの「棒」には耐えられませんので、相応の管理と対策が必要になります。

管理と対策

たくさんの負荷がかかるスピンドルは単体ではなく、相棒となるベアリング（ジャーナルベアリング）と組み合わせて使うことになります。スピンドルが回転という役割を果たすためにはこの存在が欠かせないのです。どのような部品でも回転摺動をすると必ず「摩擦」が生じて熱が発生します。高速回転をすればするほどすぐに熱くなりますが、もちろんポンプのスピンドルも例外ではありません。その熱を逃がし滑らかな回転ができるよう支える部品がベアリング（ジャーナルベアリング）であり、いわゆる「名脇役」としてポンプの正常な運転を支えています。

トータル環境のバランスが重要

どのような部品でもそれぞれの環境や設備を構成するにあたって役割があるはずです。無駄な部品や装飾をつけた設備は効率化や安全性の確保、機能性の向上などといった目的を達成するために意味がなく、コストや手間を増加させるだけとなるからです。ポンプにおいてもこの考え方は重要であり、ここで紹介したラジアル推力やスラスト推力のようなさまざまな力や負担にうまく対処・対応するために「インペラ」「スピンドル」「ベアリング」などといった部品をうまく組み合わせながらポンプを働かせることになります。それぞれの部品だけでなくそれらをトータルして構成した環境のバランスをどう整えられるか、がポンプ業者の腕の見せ所になるでしょう。

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