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次亜塩素酸ナトリウムを注入している際、ポンプがガスロックを起こして液体を送り込めなくなることがあります。銭湯でのお湯循環ろ過ラインなどでガスロックが発生すると、その解消に手間がかかり大変厄介です。
ここでは、ガスロックの原因や次亜塩素酸ナトリウムの概要と性質、ダイヤフラムポンプのガスロック現象、ガスロックの解消方法について詳しく解説します。
ガスロックの原因は、ポンプ内に発生した気泡です。気泡がフタとなる形で液体の通路をふさいでしまうことが、ガスロックの直接的な原因となります。
気泡が生じる主な原因は次亜塩素酸ナトリウム。浴場やプール、食品工場、水道水などの殺菌剤として広く利用されている薬剤ですが、ガス(エア)が発生しやすい性質を持つことから、エアの大きさしだいではダイヤフラムポンプの流れを止めてしまうことがあります。ガスロックが起こってもガスを抜けば問題は解消しますが、頻繁な確認や人の手間を要するため、効率的にダイヤフラムポンプを動作させるためには、手動以外の何らかの対策が必要となるでしょう。
次亜塩素酸ナトリウムとは、水酸化ナトリウムと塩素を反応させて生成する薬剤の一種。一般には、殺菌剤や漂白剤として使用されています。
日本では次亜塩素酸ナトリウムによる殺菌方法が広く普及し、浴場やプールなどのほかにも、水道水の殺菌方法としても一般化。その強い酸化力を利用し、殺菌以外にも脱臭や脱色、徐鉄など広い範囲で活用されています。
化学式は「NaClO」。水酸化ナトリウム「2NaOH」と塩素「Cl2」を反応させることで、食塩「NaCl」と次亜塩素酸ナトリウム「NaClO」が生まれます。
なお、一般に市販されている次亜塩素酸ナトリウムは、有効塩素4~12%ほどとなっています。
次亜塩素酸ナトリウムの主なメリットは次の通りです。
殺菌効果の持続性が高い次亜塩素酸ナトリウムですが、外的要因によりその分解が早まることがあります。主な分解要因は日光(紫外線)と温度です。
日光(紫外線)にさらされることで、次亜塩素酸ナトリウムの分解が促進されます。仮に20時間にわたり次亜塩素酸ナトリウムを日光にさらした場合、約90%の有効塩素は酸素と食塩に分解されます。
温度が上がれば上がるほど、次亜塩素酸ナトリウムの分解が促進されます。逆に、温度が低ければ低いほど分解は進まないため、その殺菌効果は長期間にわたり維持されます。
次亜塩素酸ナトリウムの自動注入において、注入量の精度や注入の確実さ、メンテナンスの容易さなどを理由に、一般にはダイヤフラムポンプが使用されています。ダイヤフラムポンプとは、ゴムなどの膜(ダイヤフラム)を往復させることで液体を安定的に送り込むポンプです。
前述の通り、次亜塩素酸ナトリウムはガス(エア)を発生させやすい性質を持ちますが、このポンプ内でガス(エア)が発生した場合、液体の吐出口でガス(エア)でフタをされてしまう状態となります。この状態でダイヤフラムを往復させても、ガス(エア)が排出口付近で膨らんだり縮んだりするだけで、液体は吐出されません。この現象が、ダイヤフラムポンプにおけるガスロック現象です。
従来、ダイヤフラムポンプでガスロックが発生した際には、主に次の3つの方法により解消を図りました。現在でも同様の方法でガスロックを解消している例が見られます。
ポンプのヘッド部分にあるエア抜き弁を回して開き、吐出動作をさせてエアをポンプ外へと排出します。
誰でも簡単にできるガスロック解消法ですが、ガスロックが起こるたびに同じ作業を行う必要があります。また、ガスロックが起こっていないかどうかを随時確認する必要もあります。解消効果は確実ながらも、手間のかかる方法であることは否めません。
ポンプの1回あたりの吐出動作を大きくして圧縮率を高めれば、ポンプのヘッド部分にたまったエアが抜けやすくなります。
ただし、多くのエアがたまっているポンプに対しては十分な対策とはなりません。
吐出側の配管を「薬液注入配管」と「エア抜き配管」に分岐させ、薬液を吐出と少量のエア抜きを同時進行で行う方法があります。
人の手間がかからないガスロック解消法ですが、「薬液注入配管」のほうの圧力が高まると、「エア抜き配管」側にはエアと一緒に大量の薬液も流れ出てしまうため、薬液の吐出量が不安定になる恐れがあります。常に一定の吐出量をキープさせるためには、人の手間がかかることもあるでしょう。
ガスロックの原因、次亜塩素酸ナトリウムの概要と性質、ダイヤフラムポンプのガスロック現象、ガスロックの解消方法などについて詳しく解説しました。
安価で手軽に利用できる次亜塩素酸ナトリウムですが、ダイヤフラムポンプを導入して次亜塩素酸ナトリウムの自動注入を行う際には、ガスロックの発生を考慮したポンプがおすすめです。
近年、さまざまなメーカーからガスロック対策に有効な製品も数々リリースされているようです。必要に応じてメーカーに問い合わせのうえ、自社に最適な製品をセレクトしていきましょう。
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